この記事で分かること
登山中の足のトラブルの多くは、靴紐の結び方で防げます。靴擦れ、つま先の痛み、かかとの浮き。これらは靴のサイズが合っていないのではなく、紐の締め方が適切でないケースがほとんどです。
この記事では、登山靴特有の紐の結び方を目的別に紹介します。基本のアンダーラップからヒールロック、下山用の締め方まで、シーンに合わせて使い分けましょう。
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登山靴の紐を結ぶ前に
フィッティングの確認
紐を結ぶ前に、そもそもの靴のサイズが合っているか確認しましょう。
- 靴紐を全部ゆるめて足を入れる
- つま先を靴の先端にトンと当てる
- かかと側に指1本分(約1cm)の隙間があるかチェック
指1本分の隙間がなければサイズが小さく、2本分以上あれば大きすぎます。靴紐で調整できる範囲には限界があるので、フィッティングが合っていない場合は靴の買い替えを検討してください。
靴下の選び方も重要
薄い靴下で登山すると、いくら紐の結び方を工夫しても靴擦れのリスクが残ります。登山用の中厚手ウールソックスを履くことが前提です。
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基本の結び方:アンダーラップ
登山靴の基本はアンダーラップ(下通し)です。紐をアイレット(穴)の下から上に通す方法で、足にフィットしやすく、長時間歩いても締めつけが均一に保たれます。
手順
- 一番下のアイレットに紐を下から通す
- 左右交互に、下から上へ通しながら上がっていく
- 各アイレットで左右均等に締めていく
- 途中で足を踏み込んで、きつすぎないか確認
反対にアイレットの上から通す「オーバーラップ」は、一時的にきつく締まりますが、歩行中にゆるみやすい傾向があります。登山靴ではアンダーラップが推奨されます。
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靴擦れ防止:ヒールロック(ランナーズロック)
かかとが靴の中で動くと靴擦れの原因になります。ヒールロック(別名:ランナーズロック、ダブルアイレット)で、かかとをしっかり固定しましょう。
手順
- 足首の一番上のアイレットまで普通に紐を通す
- 最上段のアイレットに紐を通すとき、同じ側のアイレットにもう一度通してループを作る
- 反対側の紐をそのループに通す
- 左右のループに紐を通したら、しっかり引き締めて蝶結び
この方法でかかとが固定され、靴の中で足が前後にずれにくくなります。下山時のつま先痛の軽減にも効果があります。
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下山時のつま先痛を防ぐ結び方
下山では体重が前方にかかるため、足がつま先方向に押し出されやすくなります。結果としてつま先が靴の先端にぶつかり、痛みや爪の変色が起きます。
対策
- 足首まわりをしっかり締める: ヒールロックを使い、かかとを固定して足全体が前にずれるのを防ぐ
- つま先側はやや緩めに: 下の方のアイレットを強く締めすぎると血行が悪くなります。つま先側は指が動く程度のゆとりを持たせましょう
- 休憩ごとに締め直す: 歩行中に紐は必ずゆるみます。30分〜1時間の休憩ごとに紐を締め直すだけで、つま先痛のリスクは大幅に減ります
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フックの通し方
登山靴の上部にはアイレットではなくフック(金属の引っ掛け)がついているモデルが多いです。
上から引っ掛ける vs 下から引っ掛ける
- 上から: 脱ぎ履きが楽。日帰りの低山向き
- 下から: ゆるみにくい。長時間歩行やアルプス縦走向き
フックを下から引っ掛けると、歩行中の振動で紐が外れにくくなります。本格的な登山では下から引っ掛ける方が安全です。
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紐の結び目:蝶結び vs 外科結び
蝶結び(通常のリボン結び)
一般的な結び方ですが、歩行中にほどけやすいのが弱点です。ほどけると転倒のリスクがあるため、登山では工夫が必要です。
外科結び(サージョンズノット)
蝶結びの最初のひと結びを2回巻く方法です。結び目の摩擦が増え、歩行中にほどけにくくなります。
手順は簡単です。
- 普通に蝶結びの最初のひと結びをする
- もう1回同じ方向にひと結びを追加する(計2回巻く)
- その上にリボン結びをする
これだけで結び目のほどけにくさが格段に上がります。登山靴の紐が歩行中にほどけてしまう方は、まず外科結びを試してください。
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場面別の締め方まとめ
| 場面 | つま先側 | 甲部分 | 足首 | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 登り | やや緩め | 普通 | しっかり | 足首の前屈を妨げない |
| 下り | やや緩め | 普通 | きつめ+ヒールロック | かかと固定が最優先 |
| 平坦な道 | 普通 | 普通 | 普通 | 締めすぎない |
| 岩場 | 普通 | やや強め | きつめ | 足全体の一体感を重視 |
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よくある失敗と対策
全体を均一にきつく締める
足のむくみや血行不良の原因になります。つま先側は緩め、足首側はしっかりが基本です。
靴紐が長すぎて余る
余った紐が枝や岩に引っかかると危険です。長すぎる場合は、紐を交換するか、余った部分を靴の内側に入れ込みましょう。
1日中同じ締め方のまま
登りと下りで締め方を変えるのが理想です。面倒に感じますが、稜線に出る前と下山開始前の2回、紐を締め直すだけで足のトラブルは大幅に減ります。
正しい紐の結び方は、高い登山靴を買うよりも効果的な投資です。次の山行から試してみてください。
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